春の日差しが暖かく降り注ぐ中、高校の入学式が始まった。フィオナは校門をくぐりながら、これから始まる新しい学校生活に期待と緊張を抱えていた。真新しい制服に袖を通し、彼女の胸は高鳴る。これまでにない環境で、どんな人と出会い、どんな経験をするのだろうか――そんな思いが頭をよぎる。
式典が始まると、校長の挨拶や来賓の祝辞が次々と続き、フィオナは少し退屈そうに周囲を見渡す。しかし、壇上に立つ一人の生徒の姿に目を奪われた。彼の立ち姿は凛としており、堂々とした態度からは自信が溢れていた。スラリとした長身、整った顔立ち、そして何よりも彼の自信に満ちた眼差しが印象的だった。その瞬間、フィオナの心は彼に釘付けになる。
壇上の生徒は影山霧人、生徒会長としてのスピーチを行うためにマイクの前に立っていた。彼の声は低く落ち着いていて、聞く者を自然と引き寄せる力を持っていた。
「皆さん、入学おめでとうございます。これからの高校生活が、皆さんにとってかけがえのないものになることを心から願っています。」
霧人は語りかけ、フィオナの胸に深く響いた。その言葉には、生徒たちに対する優しさとリーダーとしての強い意志が感じられた。霧人が話し終えた後も、フィオナの心には彼の言葉が残り続けた。彼はただの生徒会長ではない。優れたリーダーであり、周囲の人々を引きつけ、導く力を持っている――そんな感覚がフィオナの中で膨らんでいった。
式が終わると、フィオナは友達と校庭に出たが、心のどこかで霧人の姿が離れなかった。新入生たちの間でも、彼についての話題が飛び交っていた。
「霧人先輩、やっぱりかっこいいよね。彼がいるだけで、生徒会は完璧だって言われてるんだよ。」
クラスメイトが話すのを聞き、フィオナも同じようにうなずくが、彼女の中には単なる憧れ以上のものが生まれつつあった。
その日の下校時、フィオナは校門近くで後輩たちと挨拶を交わす霧人の姿を見かけた。彼は一人ひとりに目を合わせ、微笑みながら優しく声をかけていた。その姿を見た瞬間、フィオナはさらに強く彼に惹かれていくのを感じた。彼の持つ優しさやカリスマ性が、フィオナの心に深く刻まれた。自分もいつか彼のように誰かを支える存在になりたい、そんな思いが心の中で芽生えていった。
新しい学校生活が始まり、フィオナにとって毎日は新鮮だったが、その中で霧人の存在がますます大きくなっていった。彼のようなリーダーになるためには、自分は何ができるだろうか。そんな問いかけが彼女の心の中で響き続ける。そして、その思いが彼女を大きく動かし始めるのだった。